樹木葬・桜葬
桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。何故なぜって、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。
梶井基次郎 「檸檬・ある心の風景」旺文社文庫、旺文社
梶井基次郎はさておき、樹木葬が人気です。散骨と同様、樹木葬を希望される方は「自然に還れるから」を挙げる人が非常に多くいます。お骨をお墓に(往々にして骨壺のまま)納骨する方法に比べ、樹木葬や、散骨などではお骨が自然に還る事になり、自然志向・環境志向のライフスタイルが浸透するとともに人気の方法の一つとなっています。
樹木葬とは
墓石に代えて樹木や花を墓標にし、その下の地中に直接、あるいはさらしに包んだり、土に触れると分解される骨壺に入れて遺骨を埋葬する葬送法です。土に還るという意味では「自然葬」の一種と言ってよいでしょう。
自然に還るという点で、散骨に似た印象を持っていますが、お骨を「埋葬する(埋める)」という事で、「墓地、埋葬等に関する法律(通称「墓埋法」)」に基づいたお墓として認められた土地でなければ行えないことになっています。
樹木葬の始まり
日本で始めての樹木葬が生まれたのは1999年。岩手県の祥雲寺にて行われました。当時大きな話題になっていた散骨に影響を受けた千坂住職さんが始められました。祥雲寺の樹木葬で重要なのは、「墓石が無い」という点や、「お骨が自然に還る」という点だけではなく、里山の再生と保護が大きな目的の一つだったことです(右コラム参照)。当時荒れつつあった近隣の里山の自然を再生し、山の豊かな環境を守り残していくために、自然環境に影響を与えない事、経済的基盤を持つこととして樹木葬が始められたのです。このような樹木葬を「里山型樹木葬」と呼んでいます。
その後 祥雲寺の樹木葬は大きな注目を集め、その動きは全国に広がってきていますが、全ての樹木葬が「環境保護や再生を目的とした樹木葬」というわけではありません。
(現在、樹木葬は別宗教法人である知勝院が運営している。)
樹木葬の広がり
樹木葬が広がっていくきっかけとなったのがNPOエンディングセンターの始めた「桜葬」と公営霊園の樹木葬サービスの提供でした。祥雲寺や天徳寺などの行っている「里山型」の樹木葬に対し、都市で樹木葬が行えるように整備した「都市型樹木葬」で、都会の自然志向の人々にも樹木葬が選択肢となっていったのです。
公営霊園の参入
樹木葬が今後広がっていくのではないかと予見させる理由が、2012年の東京都立小平霊園が樹木葬を始めたことです。都立の霊園が樹木葬を「死後は自然に還りたい、という都民の思いに応える」と樹木葬造成趣旨に明記して始めた事、そして多くの都民がこれに応募したことから、潜在的に大きな需要があると考えられます。
横浜市営墓地「メモリアルグリーン」
横浜ドリームランド跡地の一部を横浜市が再開発した横浜市営墓地「メモリアルグリーン」は2006年にオープンしました。これが、日本で初めての公営樹木葬墓地となりました。この墓地には、家族での利用を前提とした「芝生型納骨施設」のほかに、個人での利用を前提として永代使用の「樹木型納骨施設」が設けられています。
1000体の収容できる芝生のマウンドが3基あり、それぞれに違ったシンボルツリーが植えられています。お骨は直接この芝生エリアに埋められます。
この樹木葬も人気で、提供依頼8倍を超える人気となっていますが、当初整備された3000体全ての募集が終わってしまっています。
東京都立小平霊園
2012年に東京都が都立の霊園では初めてとなる「樹林墓地」を小平霊園に開設したところ、反響が大きく、応募倍率が16倍を超えた事がニュースになりました。
小平霊園の「樹林墓地」は山林や原ではなく、霊園敷地内に草地を造成して落葉花木を植え、その下の地中に遺骨を直埋蔵する施設です。この施設は合祀型(複数の方の遺骨を同じところに収める)の収蔵施設で、芝生エリアの下に27基の共同埋葬施設を設けてありこの中にお骨を「土に触れる状態で」収蔵していくものです。費用は1体134,000円、管理費等はかかりません。好評だったためか、都は2013年度には定員を3倍以上に増やし募集を行いました。
また、2014年には近接する場所に「樹木墓地」を開設し、300件を募集しました。これは、芝生の墓所エリアにシンボルとして樹木を植栽して、樹木の周辺に、ご遺骨を「個別に」1 体ずつ埋蔵するもので、1区画にご夫婦、親子など最大2名が利用することが出来ます。1体用が184,000円、2体用が368,000円でした。
認定NPO法人エンディングセンターの「桜葬」
樹木葬を民間ベースで広めてきたのが、NPO法人エンディングセンターの運営する「桜葬」です。エンディングセンターは1990年に発足した尊厳ある死と葬送を考える市民団体として設立され、また、上記の祥雲寺の樹木葬に触発され、会員の皆さんの希望を叶える形で2005年には日本で初めての樹木葬(桜葬)の墓地を設立しました。
現在では東京都町田市の「町田いずみ浄苑」内と大阪府高槻市の「神峯山寺」に桜葬墓苑が運営しています。桜葬墓地は、シンボルツリーの桜をいくつかの区画が共有し、桜の下にともに眠る集合墓で、1区画に最大10体までの埋蔵が行えるようになっています。全てのタイプでお骨は土に還りますが、同じ区画は再販されることはありません。名板があり、お名前などを刻むこともできます。
費用は1区画一人で40万円から。桜葬墓地を購入するには、また利用者が存命中には会員になる必要があります(年会費あり)。この会員も、2015年春の段階で3,000人を超えています。生前予約も出来、中には意気投合してサークル活動を始める生前予約者さんたちもいるそうです。無縁になるのを恐れた人たちが縁をつなぐ…、葬送を自分たちの問題と考えてきたNPO法人ならではの活動が光ります。
このエンディングセンターの桜葬が非常に反響を呼び、また、「桜の木の基に眠る」というコンセプトが日本人に非常にアピールすることから、この後全国各地に桜をシンボルツリーとした樹木葬が出来る事になります。
町田事務所
〒195-0051 東京都町田市真光寺町338-12
TEL 042-850-1212 FAX 042-850-1211
関西事務所
〒569-1051 大阪府高槻市大字原1371-12 開成院霊園内
TEL 072-669-9131 FAX 072-669-9132
広がる公営樹木葬
小平霊園での樹林墓地の後、いくつかの公営墓地が樹木葬(樹林墓地)を作っている。
浦安市営 浦安墓地公園(千葉県)
樹林墓地
2006年の横浜市営墓地、2012年の東京都立小平霊園に続き、3番目となったのが、浦安市の樹林墓地です。浦安市の担当者の話では「お墓の後継ぎに悩んでいる人や、自然に返りたいと望む人のニーズに応えることにした」らしい。
約450平方メートルの半円状のスペースに盛り土を行い、海風に強い複数の種類(クスノキ・スダジイ・タブノキ・オオシマザクラなどの背の高い木と、モッコク・サルスベリ・ハナモモ・ナンキンハゼなど)の樹木を植え、合葬式。お骨は絹製の袋に包み16か所の縦穴に埋葬する。半円状の土留めの外側に3か所の焼香台(献花台)を設け、お墓参りに来た人はこの場所からお参りをする。全体として、小平霊園の樹林墓地を参考にしたという。
初回は5000人分の遺骨の埋蔵が可能だが、墓地は2ヵ所建設予定で、もう1ヵ所を合計すると8300人分を予定している。初回申し込みは2015年年6月15日より7月15日まで。使用料は12万円(一人または1焼骨につき)で、同霊園の芝生墓地に比較して、かなり低額な設定。
浦安市営 浦安墓地公園
千葉県浦安市日の出八丁目1番1号
問い合わせ:
浦安市役所 みどり公園課
太夫浜霊苑(新潟県)
太夫浜公園樹木葬墓地
新潟市北区にある公営墓地、太夫浜霊園の樹木葬墓地が2015年9月完成し、10月から募集が始まった。新潟でもお墓に承継者のいない市民が多く、また公営墓地が満杯な事から市が墓地の開発を検討していたたところに、2008年ころ市民団体から「樹木葬墓地を作ってもらいたい」という陳情があり、実現されたようだ。シンボルツリーは、市民団体が桜を希望したのに対し、虫が付きにくく、風に強いことや 丈夫で枯れにくいとの理由から欅となった。
樹木葬墓地着工に関する記事と市民団体の方の喜びの投書
個別埋葬1500人分、共同埋葬800人分を用意し、共同の献花台を用意し、そこから墓地を参る形になる。遺骨は木綿の納骨袋に入れて埋蔵で、最終的にお骨は土に還ります。
初年度2015年の募集(10月中)は個別埋蔵が300人分、合同埋蔵が200人分の募集だった。費用は以下の通り。他の公営霊園に比較して個別埋蔵は少し高め。すぐ申し込みが締め切られているようなので、1ヶ月で多くの応募があったのではないかと想像できます。
個別埋蔵: 1 体用 310,400 円 2 体用 480,400 円
合同埋蔵 200体程度 1 体用 106,800 円 2 体用 213,600 円
太夫浜霊苑
新潟市北区太夫浜2549-1
問い合わせ先:公益財団法人新潟市開発公社 緑化・施設整備課
長久手市卯塚墓園(愛知県)
愛知県長久手市(ながくてし)は卯塚緑地公園内の「卯塚墓園」を拡張し、芝生墓地のほか、樹木墓地を建設しました。公営霊園の樹木葬としては中部地方初。長久市議のさとうゆみさんによると、卯塚墓園の樹木葬墓地は上記の横浜市営墓地を参考にしているということで、実際、計画では「メモリアルグリーン」をイメージ図として使用していました。
樹木墓地は三百平方メートル。シンボルツリーとして高さ十メートルの「招霊(おがたま)の木」(モクレン科の常緑樹)を植え、円形の芝生下に千人分の埋葬地を設けています。遺骨は絹の袋に入れ、地中40-50㎝に埋葬。1区画は50㎝四方だが、、「土に返る」という考えから、一人一人の名前は明記していません。樹木葬墓地は、芝生墓地に隣接し、費用は遺骨一体あたり15万円で管理費は不要。
市の担当者は「墓は代々子孫が受け継ぐという既存の考え方のままだと、無縁墓が増えていく。遺族だけに頼るのではなく、社会全体で面倒を見る墓地を目指したい」と話している。(中日新聞)
長久手市卯塚墓園
〒480-1147
愛知県長久手市卯塚2-302
問い合わせ先:長久手市くらし文化部環境課
電話:0561-56-0612
様々な埋葬方法と費用目安
1人・1家・1区画に一本タイプ | 区画分けタイプ | 合祀タイプ | |
---|---|---|---|
特徴 | ある程度のエリア(1平米~4平米)に1本の木や花を植え、それを墓標として遺骨を埋葬するタイプ。同じ木の近くに複数名埋葬できることが多い。樹木の指定が出来ることが多い。同じエリアは以後使用されない事が多い。里山型樹木葬はこのタイプが多い。 | 芝生などのエリアにシンボル的に樹木を植え、芝生エリアを区画分け(30cm四方程度)しているタイプ。どこに区画内に複数名重層的に(上下に複数名)埋葬できることも多い。同じ区画は以後使用されない事が多い。都市型樹木葬はこのタイプが多い。 | 大きな共同の納骨エリアで合祀される(他の方と混ざる)か、「同じエリアが他の方に使われない」ということが約束されていないことが多い。埋葬した場所がわかるようにプレートを置いたりするところもある。 |
イメージ 図 | |||
費用 | 50~100万円 | 20~100万円(複数名使用可) | 10~20万円 |
1人・1家・1区画に一本タイプ | |
---|---|
特徴 | ある程度のエリア(1平米~4平米)に1本の木や花を植え、それを墓標として遺骨を埋葬するタイプ。同じ木の近くに複数名埋葬できることが多い。樹木の指定が出来ることが多い。同じエリアは以後使用されない事が多い。里山型樹木葬はこのタイプが多い。 |
イメージ 図 | |
費用 | 50~100万円 |
区画分けタイプ | |
---|---|
特徴 | 芝生などのエリアにシンボル的に樹木を植え、芝生エリアを区画分け(30cm四方程度)しているタイプ。どこに区画内に複数名重層的に(上下に複数名)埋葬できることも多い。同じ区画は以後使用されない事が多い。都市型樹木葬はこのタイプが多い。 |
イメージ 図 | |
費用 | 20~100万円(複数名使用可) |
合祀タイプ | |
---|---|
特徴 | 大きな共同の納骨エリアで合祀される(他の方と混ざる)か、「同じエリアが他の方に使われない」ということが約束されていないことが多い。埋葬した場所がわかるようにプレートを置いたりするところもある。 |
イメージ 図 | |
費用 | 10~20万円 |
※生前予約の場合は死亡するまで管理費が必要なケース、会員になることが必要なケースなどあり、費用に関しては個別に精査する必要があります。
樹木葬墓地に行ってみた
経験談:樹木葬墓地のある起雲寺(静岡県静岡市清水区)に行ってみた
お寺は草花の手入れがとても良い
樹木葬の出来るお寺を調べていたら、管理人の住む静岡市にもありました。調べてみると、私が夏に子供を連れて川遊びに出かけるキャンプ場のすぐそば。暖かくなり、天気も良い4月中旬、家族を連れてピクニックに出かける途中で立ち寄ってみました。臨済宗の起雲寺です。名前の通り、雲が起きそうな山に囲まれたお寺です。
山門をくぐるとなかなか風格あるお寺です。樹木葬をやっているお寺なのでご住職が草木がお好きなんでしょうね。庭のお手入れなどもとても良くされており、きれいです。アポなしで伺ってしまったのですが、「これから法事があるので時間はないけれど」と言いながらご住職が案内してくれました。
起雲寺の樹木葬は、このページで紹介している「1人・1家・1区画に一本タイプ」です。1区画2m四方~3m四方と、とても余裕がある区画割です。ここに一人から一家(2~3人を想定しているようでした)を埋葬でき、そこに一本低木の樹木を植栽できます。
納骨は1m程度彫って、さらしに包んで納めるタイプで、永代供養がついています。起雲寺が樹木葬を始めたのは4年前、ご住職の希望で始められました。生前予約も受けており、予約済みの区画には名札がついており、ご納骨済みの区画には植樹がされているのではっきりわかります。区画としては30区画くらいが整備されている様子でした。
手前の札が予約済み
後にピンクの花の咲く
納骨済区画が見える
「興味があっていろいろ調べている」というとこちらの様子を少し聞かれて、「菩提寺があるならそちらの方がいい」「お墓に心配があるなら今のご住職にご相談を」というスタンスで、新規墓地購入を考えている人向けなんだな、という印象でした(当たり前かもしれませんが)。
「どんな方がご利用ですか?」と聞いてみると神奈川など結構遠方からも希望者がいるようで、ネット経由で調べてくる人が多いようです。もう少し土地勘のある人が多い(お参りに来る前提で)と思っていたのでそのあたりが意外でした。檀家さんで後継ぎさんがいらっしゃらない方が、通常の家墓を閉めてご利用されているケースもあるようです。
費用は、1区画30万円、二人目のご納骨から10万円、護寺会費が年間5000円かかりますが、これは20年前納が可能です。戒名がついていれば他宗派でもそのままで納骨しているそうです。「葬儀をされていない方(直送?)の方の場合、葬儀、法要を起雲寺でして、戒名を授けるようなケースで5万円いただいた」ともおっしゃっていて、俗名の場合は費用は多額ではありませんが別途戒名を付ける必要があるようです。後日、聞き忘れたことを電話で問い合わせた時にも、費用に関する説明が比較的明快で、好印象でした。
個人的には土地勘もあり、お寺もなかなか風格があり良かったです。もう少し樹木葬エリアに雰囲気があると、「素敵だな」という感じですが、これは樹木が育ってくるともう少し印象が変わってくると思います。
経験談:樹木葬墓地のある公営霊園、長久手市卯塚墓園(愛知県)に行ってみた
円形の樹木葬墓地エリアを望む
2016年3月3日、長久手市の樹木葬墓地に訪問してみました。事前に長久手市のホームページをみて完成したことを知り、近くに行く用事があったので、訪問してみる事にした。
長久手市の担当者は「墓は代々子孫が受け継ぐという既存の考え方のままだと、無縁墓が増えていく。遺族だけに頼るのではなく、社会全体で面倒を見る墓地を目指したい」と説明しており、数年前から卯塚墓園の整備・拡張が行われてきました。公営墓地での樹木葬は全国で5か所目となります。
長久手市のホームページによると、長久手市では2015年末、「樹木型合葬式墓所」の全体1000体の収蔵分の10分の一、100名分を募集したそうです。それに対し584の応募があり(内、優先権のある「すでに遺骨がある」人が82件)、収蔵は抽選となりました。実は同時期に併設されている芝生型墓地(芝生に小さめの洋風墓石のある墓地)も募集されましたが、こちらは164基(永代収蔵144基 +10年次元付20基)の募集に対して154の応募しかありませんでした(今回募集分。全体では2130基になる予定)。芝生墓地の永代使用料が100万円+年間管理費8000円に比べ、樹木葬墓地は1回限りの15万円と大きく費用的な差があるのが原因でしょうか。樹木葬墓地の方はほぼ6倍の高倍率。遺骨をお持ちの方優先という事でしたので、将来的に樹木葬にしたい、と言う方は難しかったのではないでしょうか。
樹木葬墓地を側面から
3月3日はとても良い天気で樹木葬墓地の見学を楽しみにしていました。卯塚墓園には旧来型の墓地もあり、そちらの方に車を止めて行ってみると…なんということか、芝生墓地、樹木葬墓地がある区画は立ち入り禁止…。あとから調べてみると墓所としては完成し、死による抽選も終わっていますが、実際の運用(納骨)は4月1日からという事なので、それが理由かもしれません。仕方がないので、垣根越しに拝見しました。
正門手前に芝生墓地が広がります。墓石は小さ目ですが、後で調べてみると地下のカロートは墓石より大きく、小さめの骨壺6つが入るという事です。そして右手に樹木葬墓地が見えます。手前から見ると最初良く見えなかったのですが、円環型に石が積まれ、その中の芝生下が納骨場所のようです。
手前に芝生墓地
奥右にシンボルツリーが見える
全体に贅沢な土地の使い方で、非常にオープンで明るく、また背後にあまり建物が見えないので、まさに「緑と風を感じる」という卯塚墓園のキャッチフレーズがぴったりな感じで、とても素敵な樹木葬墓地だと感じました。
一方、樹木葬墓地の利用規約などを見ますと、利用者としては悩ましい問題も見受けられます。例えば:
■ 都立小平霊園は、区画単位の募集で、申し込みの際に「1体用」「2体用」として申し込みが出来ますが、卯塚墓園は申し込みが1体単位で、夫婦で一緒にといった申込みが出来ない。今後の受付によっては夫婦が同じ樹木葬墓地に埋葬できるかどうかわからないという問題があります。区画単位で申し込みを受け付け、場所ををはっきりさせて、夫婦を上下に収蔵できるようにすればいいんですが…。
芝生墓地、樹木葬エリアプラン
■ 遺骨の収蔵に立ち会えない。この点に関しては事前の申し込み時の説明では「立ち合いは出来ない」としていましたが、現在ホームページでは「芝生墓所の埋蔵の立会ができるように、納骨の日程調整、納骨手数料などの条件を検討しています」とあるので、やはり立会いの希望が多いんだと思います。
公営の霊園での樹木葬墓地、今回の申し込みの多さを見ると、これからも増えていく予感があります。
2016年9月に再度長久手市卯塚墓園を訪問し、良い天気の中写真を撮り、また、遠方から見えなかったことで気が付いてこともありましたので、訪問録をレポートしました。
長久手市卯塚墓園
〒480-1147
愛知県長久手市卯塚2-302
問い合わせ先:長久手市くらし文化部環境課
電話:0561-56-0612
全国の樹木葬墓地セレクション
永代供養に比べ、樹木葬は情報量が少ないですね。代表的な樹木葬墓地をご紹介いたします。さらに知りたい方はページ下部のリンクをご覧いただくと全国に50か所くらいはある事が分かると思います。
曹洞宗大通寺 市原南霊園
曹洞宗大通寺の裏山の一部にある樹木葬専用霊園。
宗教・宗派を問わずに利用できる霊園で、樹木葬、個別合葬、合同合葬、里山樹林葬など4つのタイプを提供していて、埋葬方法や、費用の点で、必要としているものが見つけられる。
〒290-0525
千葉県市原市米原2083
TEL:0436-89-3186/FAX:0436-89-2321
曹洞宗太嶺山高照寺
お寺全体に樹木が多い様子。区画に多くの選択肢から低樹木を植樹し、お遺骨を直接またはさらしの袋に移して樹木葬と、区画タイプの「しだれ桜の共同墓苑」がある。樹木の選択肢も多い
〒299-2203 千葉県南房総市山田1162-1
TEL・FAX:0470-58-0242
大本山東福寺塔頭 即宗院
大本山東福寺塔頭(タッチュウ)である即宗院内にある「自然苑」にある樹木葬墓地。
一般的な区画型樹木葬では、シンボルとなる木を配し、芝生の下に埋葬しますが、即宗院の自然葬では、古(いにしえ)の万葉の時代からおこなわれていた自然葬に近い弔いの方法を採用している。深い緑に囲まれた中、野趣豊かな小隈笹(コグマザサ)の下、地中深く埋葬されます。
大本山東福寺塔頭 荘嚴院
大本山東福寺塔頭(タッチュウ)である荘嚴院内にある樹木葬地。
土塀と生垣に囲まれた静かで落ち着く空間となっていて、京の春と秋を彩るしだれ桜とモ ミジの2本の樹木が植っています。埋葬される南北に長い芝生地は、東福寺の石積みによく使われている十津川石で囲まれています。利用者は、芝生地の それぞれの区画に埋葬されることになります。
建仁寺塔頭 両足院
樹木葬地は緑雲苑という名称です。槇の木等に囲まれたエリアには中心に紅葉の美しい銀杏のきがたち、埋葬するところは、柴ではなく一面美しい杉苔に覆われています。
臨済宗 大慈山祥雲寺
日本初の樹木葬墓地。里山の再生と保護を大きな目的とした樹木葬墓地で、そのコンセプトが特徴的。(詳しくはこのページの「樹木葬の始まり」をご覧ください)
〒021-0102
岩手県一関市萩荘字栃倉73-197
現在、樹木葬は下記の別宗教法人が運営している
〒021-0102 岩手県一関市萩荘字栃倉73-193
TEL:0191-29-3066 / FAX:0191-29-3067
曹洞宗天徳寺
関東初の樹木葬墓地。樹木葬を単に納骨場所として考えるだけでなく、近隣の里山の再生プロジェクトの一環として行っています。(詳しくは右のコラム「樹木葬と里山の再生と保護」)地域への社会貢献、樹木葬会員同士の交流などにも力を入れ、社会的活動としての樹木葬を行っています。非常に透明度の高い運営を行っています。
いずみ谷 西寿寺
個別型、区画タイプ、桜の周りへの散骨など、ニーズに合わせた樹木葬を用意しています。特徴的には「庭園葬」と呼んだ方が良いような庭園墓地。これは、 一般的な樹木葬とは異なり、庭園すべてを墓地と考え、年間を通じて花が咲くように 植樹がされています。遺骨は土に還る骨壺に入れて埋葬されます。
京都天ケ瀬メモリアル霊園
ここでは、永代供養墓のほかに「桜下庭園樹木葬」を提案しています。メインの枝垂れ桜がある芝生エリアには、他にもモクレン、ハナミズキ、キンモクセイなどが植えられています。黒御影のプレートにお名前が刻印されています。
〒611-0021
京都府宇治市宇治金井戸8-1
TEL:0120-05-7378
関連情報
【トピックス:お役にたつ関連情報 】
樹木葬と里山の再生と保護
私たち利用者にとって、樹木葬は、「自然に還る」という考えを実現しながら、お墓にかかるの費用をやや抑えられる、というメリットがあります。
しかし、樹木葬を行うこと自体にはそれ以上の目的がある事もあります。以前お話を聞かせて頂いたことのある、千葉県の天徳寺のご住職に伺ったお話を紹介します。
樹木葬を行っているのはお寺の裏の里山。里山には40年前に植林された杉が8000本売られています。本来、間伐をしながら健康に杉を育て、有効利用していくべきでしたが実際はそうなっていません。不健康に育った杉山崩れの原因にもなりますし、その足元は暗く、豊かな自然や動物がいるわけではありません。一見自然に見える杉山は実は殺伐とした場所なのです。
天徳寺この杉山を伐採しつつ、焼却したりして二酸化炭素を出さないよう有効利用し、今度は雑木を植えて山崩れを防ぎ、さらに動植物の命が育まれる環境を作って行きたいと考えているのです。これが樹木葬の担う里山の再生と環境保全の役割です。
こうして8000本の杉の植わる里山を100年かけて再生して行くとういう大きな計画のために、樹木葬が行われ、その安定的な資金源となっているのです。
詳しくは天徳寺のホームページ内「天徳寺の里山作り」をご覧ください。