ダイヤモンド葬
ここ数年話題になっているのがダイヤモンド葬です。遺骨を美しい形として残すことが出来、お墓を作らないための方法の一つとして注目を集めています。
ダイヤモンド葬とは
ダイヤモンド葬は、遺族が故人の遺骨から製作したダイヤモンドを故人の形見として手元に置き、供養する方法です。身に付けたり、語りけたり、触れたりすることで故人との絆を実感できるといいます。
お骨を加工して、手元に残すという点で手元供養の一種と考える事も出来ますが、遺骨全てを使用して製作することで、従来型のお墓は全く必要なくなります。
ダイヤモンド葬のメリットと注意点
メリット | デメリット |
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遺骨ダイヤモンド製作の仕組み
遺骨ダイヤモンドの結晶製作工程
天然ダイヤモンドは、自然界の中で、炭素成分に高温高圧がある一定の条件でかかった時に生成されます。
遺骨から製作されたダイヤモンド(「遺骨ダイヤモンド」「メモリアル・ダイヤモンド」と呼ばれることが多い)は、遺骨中の炭素成分に人工的に熱と圧力をかけて製造した「合成ダイヤモンド」です。人工的に製作された物ですが、硬度や輝きは天然ダイヤモンドと同じで、宝石としての鑑別書がついていることもあります。
ダイヤモンド葬の始まりと浸透
2000年代初め、海外のいくつかの会社が「遺骨からダイヤモンドの製作」というサービスを始め、2005年以降、日本にもその支社が立ち上がり、日本からも製作を依頼をすることが出来るようになりました。2015年現在、日本から、スイス、アメリカ、ロシアのメーカーに依頼が可能となっています。
日本に紹介された当初は、若く伴侶を亡くされた人、子供を亡くした親など、故人との強い繋がりや、「別れ難さ」から依頼する人が多かったようですが、近年、ダイヤモンド葬がメディアでも取り上げられるようになり、「お墓を作らない代わりに」「散骨を考えていたが手元に形見の残るダイヤモンドに」という人が増えてきているようです。
遺骨から本当にダイヤモンドが出来るのか
本当に遺骨の成分でダイヤモンドを製作することが出来るのでしょうか。
遺骨に炭素はあるのか
ネット上では、「遺骨は火葬しているので炭素は燃え尽きている」「骨の成分はリン酸カルシウムで炭素はない」という話が散見されますが、「実際遺骨を調べてみたら炭素が無かった」という人はいないようです。
現実的には、火葬された遺骨に炭素は数%(1~3%)残っています。確かに人間の骨の堅い部分にはほとんど炭素が含まれていませんが、火葬の際には骨構造の中のたんぱく質なども一緒に火葬されますし、火葬の温度や時間は炭素がすべて燃え尽きてしまうほど高くはないので、遺骨中には炭素が残っています。
その炭素からダイヤモンドが製作できるか
「炭素成分から人工的にダイヤモンドを製作する」事自体は既に50年以上前に発明された技術なので、間違いありません。後は、遺骨から、充分に純粋な炭素を取り出せれば製作は可能です。
証明はできない
しかし、完成したダイヤモンドは「人工的に製作された」事は客観的に証明できますが、DNAなどは残っておらず、「遺骨から」あるいは「ある特定の人由来の成分から」製作されたかどうかを証明することはできません。信頼できるかどうかを見極め、充分納得してから依頼することが大切でしょう。
遺骨を加工することに法的な問題はないか
散骨のセクションでも詳しく説明しましたが、遺骨を加工することは「葬送のための祭祀(さいし) で節度をもって行われる限り問題ない」(散骨の際に遺骨が粉砕、散布されることについてに関する法務省の見解)に当てはまります。手元供養のなかには他にも加工タイプのアイテムもあります。また、現在のところ遺骨ダイヤモンドの製造はすべて海外で行われているので、法的な問題はありません。
ダイヤモンド葬を希望する理由
- 故人とのつながりが強く、いつも一緒にいたい
- 美しい形で手元に残るのがいいと思う
- 今後、転居や海外への移動があり、持ち運べる形にしたい
- 永代供養では最終的に合祀(他の方のご遺骨とまとめる)になってしまうことに抵抗がある
- 故人が散骨を希望していたが、特に海に思い入れはない
- 無宗教的なものを希望している
ダイヤモンド葬について少し詳しく
解説 | |
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遺骨の量 | 60g程度でも製作できるメーカーもあるが、全て使用することも可。少ない量から製作する場合は、炭素を追加する必要がある。全て使用する場合は、余さず全て使用することを確認する必要がある。 |
大きさ | 0.1カラット~1カラット程度 |
費用 | 40万円~250万円 (大きさによる) |
製作期間 | 3か月~半年。 |
色 | 無色透明や、無着色で色がついているケース、着色しているケースも。 |
遺骨の受け渡し方法 | 郵送か自宅での預かり。業者による。 |
ダイヤモンド葬体験談
実際ダイヤモンド葬をされた方の感想をご紹介します。お墓の代わりにダイヤモンドを製作しようと考えていたが、ご主人のご両親はお墓を望まれたというケース。ここにも現代のお墓問題の縮図があります。
私は主人のお墓を望まなかったが…
本日主人が帰ってきました。
我が家は一人娘の為、娘の将来を考えると「主人と私のお墓は作らずにダイヤにする」と決めておりました。
主人は43才という若さで、朝元気に玄関を出て、そのまま帰らぬ人となりました。娘も私も、今でもまだ主人の死は信じられません。
主人の実家では墓参りしたいが為だけに、今まで持っていなかったお墓を買い、主人の遺骨のほとんどを持って行きました。お墓の管理を今後をどうするのか問うと「10年間管理費を払わなければ取り壊されるのでそちらには迷惑をかけない」との返事でした。誰もいないお墓の中で、主人はたった一人で入っている状態です。”千の風になって”を歌いたい程でした。
日本人はお墓にこだわる方が多いですが、少子化の今の時代ではこのような供養の仕方があります。私も娘も、ダイヤになった主人とこれからはいつも一緒です。私が主人のもとに行ったときには、主人のとなりにダイヤにしてならべてもらうように、娘にはお願いしてあります。私の時にもよろしくお願いします。
東京都 S.F.さん
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遺骨ダイヤモンドの製造工程
実際のダイヤモンドの製作はどのように行われているのでしょうか。ダイヤモンドの製造工程に関するビデオがありますので、ご紹介します。(提供:アルゴダンザ・ジャパン)